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「みんな、何かと闘っているのかも」

2005年9月26日

昨日の有明コロシアムは、素晴らしく盛り上がったそうです。
「五味の試合は、これまでのプライド全試合の中でも、ベスト5に入るだろうな」と、高田が言っていたので、相当すごかったのでしょう。ヒョードル、ノゲイラ、ミルコらの重い試合の迫力に負けていなかったというのですから、・・・次(決勝は大晦日だそうです)は、必ずや見に行かねばなりませぬ。

さてさて、話は変わりまして。
BBSへたくさんの書き込み、ありがとうございます。
私も、子供たちがお昼寝したタイミングを見計らってPCに向かっています。
が、2人が同じ頃合に眠くなってくれない日も多々ありますので、1人が寝たら、即座に「おやすみオルゴールCD」をかけ、もう1人を眠りに誘う(落とす?)作戦をとっています。
ま、そのCDの効き目もそろそろなくなってきていまして、フッと気づくと、眠っているのは私だけで、お目々パッチリの2人に上から乗っかられて目を覚ます・・・という、なかなか格闘技系の昼下がりを過ごしたりもしているのですが。

BBSの中に、「母が卵巣がんになって・・・」という、お話がありましたね。
はっきり申し上げて、卵巣がんは手強いですから、家族一丸となって闘わなければならない大敵だと思います。・・・が、だからと言って、実際に何をしてあげたらいいのか、その答えが容易に見つかるわけもなく、本当に苦しい思いをなさっていることと存じます。

実は、私の母も、この2月に尿管がんが見つかり、3月に手術、4・5・6月と抗癌剤を3クール行い、7月に退院してきたところです。
ジンギスカン・レストランを立ち上げるため、グッチャグチャに忙しかった真っ最中に病気がわかり、手術の日は、なんとお店のオープンと同じ日。私もかかっている泌尿器科の医師に担当してもらいましたので、思いっきり詳しく(つまり、非常にしつっこく)病状・手術方法・化学療法についてのインフォームド・コンセントを求めながら、必死こいて病室へ通った日々でした。
でも、家→病院→店→家→病院→合羽橋→店→家という目の回りそうな時間の中で、いつも、何故か妙にジンワリと、「ああ、今まさに、私は神様に試されているんだな〜」と、感じていたことを思い出します。・・・合格点には程遠かったに違いありませんが(恥)。

ここで、私が母にしたことの中で、唯一、「これは、正解だったかも」と、思われることを紹介しておきますね。
それは、脱毛が始まる前に、“かつら”をプレゼントしたこと。
医師から、かなりの確率で脱毛が起こるだろうと説明されていたので、抗癌剤の使用が決まった直後、まだ投与が始まる前に、母へ“全かつら”を届けたのです。

「何よ? かつらなの?」
「そう、髪の毛が抜けるかもしれないって聞いたからさ」
「いいのに、こんな・・・」
「あ、知らないの? 女優さんたちだって、かつらはバンバン使ってるんだよ。脱毛がなくたって、しばらくはあまり美容院へ行けないでしょ。入院中はもちろん、退院してからだって、美容院の椅子に2時間も腰掛けてたら、気分悪くなるよ。私、美容院で真っ青になったことあるもん。だから、忙しい女優さん、もしくは、体調の万全じゃない人は、お洒落なかつらを買う時代なの。わかった?」
「だって、似合うわけないじゃない・・・」
「そんなん、被ったことのない人が言わんといて。・・・ほら、なかなかイケてる〜」
「あら、でも、これ、髪だけ若くておかしいみたい・・・」
「アホかいな。髪のボリュームアップは今や、中年以降の女性の必修科目になってるの。じゃなかったら、レディースアートネイチャーが、あれだけ売れるわけないでしょ」
「売れてるの?」
「売れてるから、CMバンバン打ってるに決まってるでしょ。売れてなかったら、商品も作らなくなるし、CMも打ち切りになるの。・・・ね、お母さんの場合は、もう少し、眉をハッキリ描けばバランスがとれてくるはずよ。・・・ほら、ほら!」
「あら、そう? そうかしらねぇ」

と、かなり強引だったかもしれませんが(笑)、こんな感じで、メイクレッスンに突入した挙句、病室のベッドの下にかつらを置いてきてしまったというわけです。

百貨店のかつら屋さんで、人毛/化繊が50/50の割合のかつらを求めたのですが、最近のかつらは素晴らしいデキですよ。ちょっと高いのが難点ですが、髪の毛が生えてきてからも、充分、お洒落アイテムとして使えるし(セットが完璧にキマります)、シャンプー・リンス・陰干しで簡単にお手入れできるし、・・・あながち損なお買物ではないはずです。

実際、外出許可をもらって、一緒に日本橋三越へ「三岸節子展」を見にいったりもしましたが、本人が気にして、しょっちゅう頭のてっぺんに手を置くのはどうかと思いましたが、それ以外はとても自然だったと思います。
「浮いてないか、心配で・・・」
「全然、浮いてないよ。お母さんはスターじゃないんだから、バレたって、騙してたのね〜って、ファンが悲しむわけじゃないっしょ。それより、あんまり頭を押さえてると、もう二度と生えてこない、本物のスキンヘッド・オヤジに失礼なんじゃないかしら」
「あら、あの人のこと?」
「違うよ、一般論で言ってんの。・・・ねぇ、見すぎだってば」
などと、親子で天然漫才をしながら、中華そばをすすったりして。

女性は特に、脱毛によって気持ちが落ち込んでしまうので、抜け始める前から、かつらを素敵に使いこなす自分の姿をイメージトレーニングしてもらうのも、案外、いいアイディアかな、と思うんですが、どうでしょう?
「2年もすれば、ほとんどの方が元通りに生えてきますよ」と、医師は言いますが、「その2年が長いんじゃ〜」と、心の中で、間寛平さん風に叫んでいた私でございました。

病気と闘っている人に、何ができるか。
これは、人類永遠のテーマですね。
何か、どんなに小さなことでも、いいアイディアがありましたら教えてください。
医学的な処置以外にも、私たち(=家族、友人、ときには本人)ができることを探したいですね(宗教の勧誘に関する文章はBBSには載せられない旨のみ、あらかじめご了承ください)。
ちなみに、私の場合は、「ゆっくり休んで、元気になってね。ずっとずっと待ってるから」と、仕事仲間に言ってもらえたことが、ものすごく嬉しかったです。
「待ってる」って、実はものすごいパワーを持った言葉だったんですね。

P.S. 抗癌剤による脱毛から、かつらを使おうかしらと思われている人のために、確か、夏目雅子さんの基金が使われていますよね。そちらを利用してみるのもいいかもしれません。

PHOTO「キミは誰?」 私の机の、すぐ横のロールカーテンにとまっている蝶(?)です 接写で撮ったので、実寸は1cmくらい なんて美しいんでしょう! ウルウルしてしまいます・・・