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「逃がしたら、バッタだって大きく見える・・・」

2005年10月18日

以前よくお世話になっていた(つまり、最近はサボッてばかりの・・・)鍼治療の先生からいただいた「虫の音CD」を、今もよく聴くのですが、このCDをかけると、うちの庭というか、バルコニー内の土スペースに、いっぱい鳥や虫が集まってくるような気がしてなりません。
当の先生は、「僕が野山を歩き回り、静かな森の中で、まったく自然の状態のまま録音したテープなので、思うに、鳥たちはエサがたくさんあると思って、そして、虫たちは仲間がたくさんいる住みやすい場所だと思って、やってくるのでは?」と、分析してらっしゃいましたが、さぁ、どうでしょう?

今日は、ここ30年は見ていないような、どでかいバッタを発見したのですが、「うわぁ、かっこいい! カメラ、カメラ」と、オタオタしているうちに、ビヨォォーンと、見事な放物線ジャンプで逃げられてしまいました(涙)。
「かっこい〜、かっこい〜」と、子供たちもバッタをまじまじと観察していたところだったので、できれば、いいところを見せたかったのですが、・・・ダメですねぇ、足はもちろん、まず目が追いつかなくなっていますから。
バッタ捕り名人だったあの頃の亜紀は、都会の色に染まって、というか、寄る年波にのみこまれて、もうどこにもいませんでした。ま、あの大きさだったら、咬まれる可能性も考え、虫網を使った方が無難でしたけどね(ハイ、負け惜しみです)。

世の親御さん方も、きっと大変ですね。
子供にいいところを見せようにも、まず虫がいませんから、虫を追いかけることもできず、よって、子供たちが虫を知らず、しかるに、やっとこさ捕まえたとしても、あまり感動されなかったりするのでしょう。
「ムシキングに出てくるような虫じゃなきゃイヤーッ!」なんて小僧は、「アフリカのジャングルの中で、夜、白い服を着て立っててごらんなさい」ってなモンです。カブトムシのでっかいのなんて、羽根を広げて飛んできたら、きっとビックリして泣いちゃうよ、キミ!

何年か前に読んだ本に、「昔の人は、自分の経験を子に伝えればよかった。それが教育として、ずっとずっと成り立ってきていたのに、今は違う。環境が変わり、世襲の職業も激減し、子供の玩具一つとっても、昔と同じものを探すのは難しい。携帯もコンピュータもインターネットもなかった世で子供時代を過ごしてきた大人が、その頃の経験を現代っ子にいくら伝えようとしたとて、なかなか心に響かないのは当然とも言える。大人も子供も一緒になって、人類の未体験ゾーンへ入っていかねばならぬ時代なのだから、教育の概念も変わるべきなのだ」というようなことが書いてあったのを、フッと思い出しました。・・・お父さん、お母さん、これからどうします?

アウトドアの達人といわれるタレントさんを取材したとき、その方がご自分の奥さんに言っていた言葉が、何かの参考になるかもしれません。
その奥さんは虫が大・大・大っ嫌いなのですが、「お願いだから、子供たちの前で、虫を見て、“キャー!”とだけは言わないでほしい。触ったり、可愛がったりしなくていいから、とにかく黙っていて。そうでないと、子供たちが、虫を見たら、“キャー!”と叫んで怖がるものだと、思い込んでしまうから」と、愛するダーリンに頼まれ、虫が顔に当たっても、必死に声を殺して震えていたのです(えらい!)。
実は、その家族と一緒に河原で食べた焼きそばには、非常に粉っぽい蛾が何匹も入っていたのですが、奥さんの頑張りを心の中で称えつつ、ワタクシ、残さず食べたものです・・・。

それはさておき。
「ちょっと黙って、親子一緒に観察する」っていうのは、いかがでしょう?
今日のバッタも、カメラを取りに行かず、一緒にただ観察すればよかったのかも。

PHOTO「バッタを捕るモノ?」 この季節に赤く美しい実をつけるクロガネモチ(モチノキの一種)ですが、この樹皮からとれるガム状の粘着性物質は、昔から捕鳥・捕虫のための「トリモチ」として重用されてきたそうです が、この木がこうして普通に生えている限りは、鳥や虫たちの幸せな憩いの場所となっていました〜