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「心にも免疫力をつけたい私です」

2005年9月16日

またまた、世にも人気のなさそうな「ギョウ虫」の話題で、日付けをまたいでしまった向井ですが、今日の推薦図書は、藤田紘一郎著『ゼロ歳からの免疫力(集英社)』です。
この本は去年発行されたものですので、科学的・医学的に最先端の内容なのですが、暮らし方までヤミクモに最先端を目指すのはいかがなものかという、大らかで生き生きとした提案が詰まっている本であります。自らもお腹の中に10mほどのサナダ虫(名前はナオミちゃん)を飼っている藤田教授が、「正しくバイキンとつきあって、心と身体の免疫力を高めていきましょうよ」と、著者近影の写真の中から微笑んでいらっしゃいます(笑)。いえ、本当にオススメですよ。これからの子供は、ひ弱じゃいかんのです、きっと。

「正しくバイキンとつきあう」の、思いっきり延長線上にあると思われる、「正しく死とつきあう」という部分に興味のある方には、あまりに有名な本ですが、やはり、E・キューブラー・ロス著『死ぬ瞬間(読売新聞社)』を推薦します。日本では1998年に発行されたようですが、もともとは1969年に発表されたもので、それまではまったくと言っていいほど注目されていなかった、末期と言われる病状の中で死を受け止めていく患者の精神的な部分を研究したものです。当時は批判も大きかったらしいのですが、「死の五段階説」は広く知られるようになり、後にホスピスができるきっかけになったのだとか。

私がこの本に興味を持ったのは、NHKのアーカイブス(ヴス?)の中で、偶然、キューブラー・ロス本人がまさしく死を受け入れなければならない状況の中で、その心の内を赤裸々に語っているドキュメンタリー番組を観たからでした。・・・彼女は聖人ではありませんでした。「何故、私をこんな目に遭わせるの? 神は、まるでヒトラーようにひどいわ。私が聖人? バカいわないで。もし、この部屋に聖人が何人も入ってきたら、“ウエッ”だわ。・・・生きている意味なんてないわよ」などと言う、厄介なオババになっていたのです。
が、それを観て、私はすっごく安心しました。彼女は患者として、とても正直に生きていたのです。これが、「今まで私が世界中の人に説いていたことを証明するためにも、私は自己を冷静に見つめようと思います。そこにある死を恐れず、受け入れるまで」的に、医師(あるいは研究者)としてカッコイイことを並べたてていたら、“ウエッ”ですもの。最期は、子供さんたちと手を繋ぎながら、笑顔を浮かべて旅立たれたそうですし・・・。

読書の秋っぽくなってきましたね〜。是非、皆さんの推薦図書も教えてください。
ちなみに、この夏の私は、読書という点においては韓流ブームでした。『半島を出よ』、『花まんま』、『血と骨』と、(偶然)続けて読んだんですけど、共通点は韓国&(日本の)下町だったので、次は『夜を賭けて』→『日本三文オペラ』と読み進んでみようと考えているところです(出版社勤務の友人から、この2冊を教えてもらったのでした、ウキッ)。

PHOTO「こんなに!」 「死ぬ瞬間」シリーズが、こんなにたくさんあるとは知りませんでした 私が読んだのは、この右端のたった1冊のみであります 写真が不鮮明で申し訳ありませんが、全部、くっきり見えてしまうと、ちょっと苦しい気持ちになってくるかも・・・